クレオパトラの夢
今回はMAZEの不思議な雰囲気はなく、とても現実
的なミステリです。
「クレオパトラ」というキーワードが解けた後も誰も
彼もが何かを隠し、騙しあっていきます。
「木曜組曲」や「不安な童話」に似て物語が展開する
毎に意外な方向へ進む面白さがある一冊でした。
二転・三転するので途中で止められず一気に読まされ
ました。
今回のメインは登場している4人の個性。
よく考えると恩田さんって主役級を4人にするの好き
ですよね?
MAZEもだし六番目の小夜子もだし黒と茶でも4人
でしたし・・・・。
恵弥だけでも個性が強いと思っていたのに、和見も慶
子も多田も一筋縄では行かない人達ばかり。
しかも肝心の語り部・恵弥さえも何かを隠している雰
囲気があるので読んでいて私自身が疑心暗鬼になりそ
うでした。(笑)
ただ恩田さんの魅力の一つで読んでいて鮮やかに浮か
ぶ風景が今回はなかったですね。
肌で感じる季節感も薄いし・・・・・そういう意味で
はちょっと物足りなかったかな。
クレオパトラを読んだ後みてもう一度MAZEを読み
たくなってしまいました。